彼氏に浮気された女の子with氷室(5)
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”パシッ”
「パス出来たね」
『ほ、ほんと!』
「うん」
やったーと言ったとき、辰也君は私の頬を触った。
「菜奈ちゃん。君は視力を失って、とても辛かった事がたくさんあったかもしれない。けど、君にはまだチャンスがたくさんあるよ」
そう言って、手を離し、コートに戻った。
その時、私の鼓動が早くなった。
見学を終えて、体育館に出るともう雨は止んでいた。
『さて、もう帰らなくちゃ』
と独り言みたいに言って、前を進もうとするといきなり誰かに腕を掴まれた。
〈菜奈!〉
私の腕を掴んだのは彼氏だった。
〈ダメだろ?一人で歩いちゃー。ちゃんと正門まで案内するから〉
『やだ!!離して!』
私は何度も腕を振り回したが、全く彼氏の手が離れられなかった。
「ちょ…、お前!!いい加減にしろよ!!」
彼氏が怒鳴る声にビクッとして、思わず涙を流した。
『誰か…たす…けて…!』
と言葉は途切れながらも助けを求めた。
名無しさん