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リクエスト
投稿日:706 0 7
いつもの帰路を歩いているはずなのに、今日は別の道を通っているように感じた。
相変わらず、クロが不機嫌なのも直らないしドギマギしながら足を進めていた。
「お前はさぁ」
沈黙の中、急に言葉をは放たれ肩がビクンッと大きく動いた。
ゆっくり振り返る彼に少し翻弄されそうになるのをこらえ、視線を合わせた。
「好きな人とかいんの?」
不意に聞かれた言葉に、おもむろに驚いてしまった。
「す、好きな人?!」
それはあなたなんですよ。なんて口が裂けても言えない。
言えることは言える。けれど、今の関係が崩れる可能性があると考えるとどうしても伝えることができなかった。
「俺は…いるよ」
……………え…?