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リクエスト
投稿日:629 0 6
リエーフの存在に気づいた私はすぐさま立ち上がり、横を通り過ぎようとした。が。
ガシッ
腕に触れられた感触があった。
掴まれた腕を見るとリエーフの大きな手が私の腕をしっかりと掴んでいた。
「離して。」
目も合わさずに低い声で呟いた。
しかし、リエーフは離そうとせず掴む力をさらに強めた。
「どうしたんですか?」
「何でもない。いいから離して。」
「アキさんが教えてくれるまで離しません。」
「離せッ!!」
声を荒げた。けれど今まで1番弱々しくてまるで構ってほしいみたいな声だった。
こんな涙でぐちゃぐちゃな顔を後輩に見せられない。
「俺、頼りないですか?」
「え?」
冷静に言葉を解き放たれた。
思わずリエーフの顔を見ると眉間に皺をよせ、でもどこか悲しそうな顔をしていた。
「そんなに俺は頼りないですか?俺、アキさんの力になれませんか?」