6
絞り出す。自分の手のひらに爪を立てた。
泣きそうだった。こわくてたまらなかった。
────好きだった。とても。心から。ずっと。
「死なないで。どうか…どうか無事でいて」
あなたの無事を、毎日神様に祈る。そう伝えたら彼は笑ってくれた。前のように。きっと会いに来ると約束して。
「家の手伝いをちゃんとするんだぞ」
「もう、今それを言うの?」
「キミはそれでよく親に叱られていたから」
互いに笑い合う。終わりの時間が迫っているのを拒むように。永遠を願うように。……心を願うように。
「それじゃ、行かなくちゃだ。」
彼が言った。
名残惜しかった。
また、行かないでと言いそうになった。
面倒な女だと自覚した。
認めるから、神様、どうか彼を連れていかないで──
「うん、気をつけてね。」
そっと言う。小さな声で。
あまり口を開くと、余計なことを言いそうだった。
2021/01/26更新 【PROFILE (雑)】 名前 お好きなように(( 誕生日 8/1 青い鳥 @Ra_Bi_3 取説 チキンです🐔 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 【諸連...