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二十三、光景
投稿日:78 0 5木々がそこを避けるようにしてできた道を足早に進む。
ここを通れば隣村に着く。
隣村はいつも自分が仕事をしに降りる村よりも比較的治安が良い。穏やかな人々が住んでいると記憶していた。
視界が開ける。
目的地までもう少し。
すぐそこに村があるはずであった。
「なっ…」
しかしそこにあったのは…
「これじゃあまるで…」
血の匂いと火薬の匂いが混ざる独特の空気。
遠くからは金属音やら怒号やらが飛んでくる。
「戦場じゃないか…」
攘夷戦争
噂では聞いていたがあまりの凄惨さに言葉を詰まらせた。
その瞬間──
「はぁァッッ!!!」
死角から飛び出したひとつの影が自分に向かって刀を振りだしたことを感じ取った。