過去編2
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「うん…覚えてないの…」
「そっか…」
「あのね、でも、一つだけ覚えてることがあるんだ!」
彼女は嬉しそうな顔で言った。
「なんだい?」
「私には、お母さんと、お父さんが居るってことだよ」
…彼女は僕が一番覚えていて欲しくなかったことを言った。
というのも、今は民族同士が争いあっている時代。
こんな幼い少女が僕の森に迷い込んで来るなんて、初めてだった。
彼女の両親は飛んできた矢に胸を射抜かれ、即死…
一人になった弱い少女は、相手の民族に鉈で殺された…
そもそもなぜ死んだはずの彼女がここへいるのかと言えば、
神が生き残らせようとした世界でたった一人の人間と言うことだから。
僕の森へ来たのは、森で殺されたからだ