イ/ナズマ文庫
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まただ。また、出なかった。
最近、真ちゃんは電話をしても10回に1回くらいしか出てくれない。
まだ退院した訳じゃないのに、なんでだろう。
なんだか嫌な予感を振り払うかの様に強く首を振ってみる。
その時、塔子が私を呼ぶ声がした。
私は慌てて携帯を閉じ、塔子に駆け寄って行った。
―海の近くの堤防―
「真帝国学園なんてどこにもないじゃん!」
塔子がまさに噛み付きそうな勢いで、不動に言う。
そう、私達は不動に導かれて真帝国学園前にやってきた…はずなんだけど…。
見渡す限り、海水だし、本当にここに中学校なんてあるんだろうか。
でも、なんとなくだけど、不動は信じていいような気がする。気に入られたのと同時に、私もあいつ気に入っちゃったのかも知れないな。
ま、みんなはものすっごい怖いオーラだしてるけど。
「ったく、焦るなって。中学校ならあるだろ、そこに」