箱舟は沈む | 03
「 おう…ありがとうな、いつも 」
「 … 」
ずるい、ずるいよ。そんなの、ないよ。
いつもなら撫でてくれていた手はもう届かない。私だけが広げてしまった距離もきっと埋まることはない。
黙り込んだ私に小首を傾げる瀬見はきっと私のことまだ親友として大切に思ってくれてるんだろう。だけど、
それだけじゃ、やだよ。
「 …なにらしくない事言ってんの、ほら彼女と帰んでしょ?いったいった 」
「 らしくないって… 」
すきだばーか、背中を押しながら小さく呟いた言葉はきっと届かない、届かなくていい。
またありがとうと言って教室を出ていく瀬見に今度はちゃんと言えた。
「 がんばれ! 」
「 おう! 」
“ 箱舟は沈む ”
ーーー
井上苑子ちゃんの赤いマフラーを参考に😋
タイトルお借りしました\( ¨̮ )/
ゆ め か き ___ ✍🏻 ち き ん 🐓 🍴 ...