#314
「先に部屋に入ってて良かったのに」
さすがに先に部屋に入るのはどうかと思った私は扉の前で彼を待っていた。
「いえ」
そう、玉森さんに鍵を渡すと
「どうぞ」
扉のロックが外れると共にそう彼は言った。
毎日帰っていた家なはずなのに…
久しぶりに足を踏み入れると彼の香りがいっぱいで、少し緊張してしまう。
そんな風に入ることを躊躇している私に、
「早く入って」
彼はそう、私を家に押し込んだ。
玄関から続く長めの廊下を歩いてリビングへのドアに手をかけると
あの日と同じ空間が広がってた。
家具の位置もそのまんまの空間で、3ヶ月空いていたのが嘘のようだった。
ただ、少し散らかっていて…
掃除が行き届いていないってすぐ分かった。
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