東方継承録90

ユウラユウラと揺らめく焔が映る。

火の粉を撒き散らし、自分勝手に暴れまわっている。

辺りは暗く、焔の光が照らす限りの間隔のみしか見えない。

この前に見た、幻想郷に来たときに見た悪夢と似ている。

然し……そのときと違って、痛みは少ない。
身体も自由に動かせる程度だ。

「アァ……見つけたぞォ……カルムゥ……」

身体を持ち上げようとしたそのときである。

背後から、聞き覚えのある声が響いた。

「コンナ世界は壊すべきだと思わないカァ……？思うよナァ……？ハハハ……」

酔い狂ったような不気味な声色。

聞き覚えはあるのだが、誰であるのかは分からない。

ただ、こいつの言っていることには反対するしかないと思った。

「俺はこの世界を楽しく生きたい」