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お互いの考えていることも、口にしてみなければ伝わりはしないこと。
それは分かっている。
なのに、うまくできない。
グッと口を噛んで振り返って、櫂から逃げる。
でも今度は櫂は追いかけてこようとはしない。
「……っ、」
口を噛んでせいで、鉄のような朱が広がる。
でも、そんなのどうでもよくて。
野中さんと櫂の2人の間だけにあるものを。
それを知ってしまったら。
櫂が取られてしまうようで。
だから余計に。
怖くて、怖気づいて。
今もこうやって逃げている。
口にして伝えなければいけないことは、もうすっと変わらないはずなのに。
たった2文字のそれが。
いつになっても、口から出てはくれなくて。
焦りばかりが出てきてしまう。
真。(活動お休み
ゆるり。ふわり。ひらり。