恋人の証

―「この街は、随分変わったね。綺麗になった。」


確かにこの街は綺麗になったし、変わったと思う。


でも1番変わったのは彼奴だと思う。


「でも、1番変わったのは佐久早だと思うな。」


『なんでだろう。』と思い少し黙っていると彼奴は1人で話を続けた。


「だってマスク外すようになったじゃん。」


と彼女は嗤う。


佐久早「うるさい。」


お前だって変わったじゃん。本当はそう続けたかったのに言葉が上手く続かない。


でも俺の今の本音を知ってもらいたかったから


ちゃんと自分の気持ちを伝えたかったから、


少し間を空けて続けた。


佐久早「お前だって結構変わったし。」


「そうかな。」と彼女は今度はちゃんと笑った。


その後は特に何も話さなかったけれど、それは俺と彼奴が恋人として1つになった証だと思う。―