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死を伝える彼は冷酷さに欠け、さながら天の使いの様だった

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夜空に浮かんだ月を眺めていると

「夜分遅くにすみません」

と声がした
慌てて振り向くとそこに一人の男性が立っている

「誰…」
「私、死神と申します」

そう名乗り懐から名刺を取り出す彼
中々突飛な自己紹介に身構えるが、不思議と恐ろしさは感じなかった
それはにっこりと微笑む彼が纏う雰囲気に、冷たい死を運ぶそれより穏やかな日だまりを呼ぶような暖かさを感じたからかもしれない

「突然ですがあなたは明日死にます」
「…そうですか」
「驚かないのですか?」

おや、と小首を傾げる姿は些か緊迫感にかける

生まれてこの方、白い病室と縁が切れない身な為どこかで予想はしていた

だから突然の宣告に悲観になるわけでもなく、心に浮かんだのは、死神なんて役職が似合わない穏やかな笑顔を携えた彼に導かれるならそれも悪くないか、なんてことだった



4月が待ち遠しくて弾けた産物です。

素敵な拾い画様。

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