桔梗〈ききょう〉1
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「……っ、」
こんなにも苦しいなんて。
ただ、脳内にあいつを思い描くだけで。
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桔梗 ....秋の七草の一つ。
花言葉 ×××××
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あれには、一度だけ会った事がある。
それも、僅か数十分程なのだが。
憲兵団入団希望者が集い、オリエンテーションが行われたことがあった。
その時俺は、将来ライバルとなるであろう集まった奴らを眺めていた。
そんな時、だった。
あいつが、あいつだけが民草の中咲く花の如く俺の脳内にストレートで飛び込んできた。
ふわふわな猫っ毛に、柔らかくカーブを描き垂れた瞳。
脳が感じたそれは、ミカサに抱いたあの時の感情を煮詰めて煮詰めて凝縮し、沢山の蜂蜜を入れより甘くしたような、衝動にも似た何かだった。