イ/ナズマ文庫
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「な…っ!?」
咄嗟に声が出なくなった。なにこの人…。歪んだ顔がいいって言うなんて…。
デザームも宣言フェチなんて変わってるなぁって思ったけど、それの上をゆくフェチがあったなんて…。こいつ、きっと歪み顔フェチだ。
そんなのあるか、と自分に突っ込みを入れつつ自らを嘲笑う。
「俺は真帝国学園サッカー部キャプテンの不動明王だ。てめぇはなんつー名前だ?」
「私は雷門中サッカー部の沢村星羅。以後お見知り置きを」
不動は、楽しげにくっくっと笑うと、ボールをリフティングしながら表通りに出て行った。
「はぁ、やっと真ちゃんに電話できる」
私は誰にともなく独り言を言いつつ、携帯を開いた。
発信履歴から真ちゃんの番号を素早く探しだす。
二度、三度と呼び出し音が鳴るが、真ちゃんからの応答はなかった。
それから三度ほどチャレンジしたものの、結果はいずれも同じだった。