イ/ナズマ文庫
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あぁ、佐久間先輩かっこいいなぁ…。髪の毛が少し乱れた感じが本当にかっこいい…。
私がじいっと食い入るように佐久間先輩を見ていると、あちらが気づいて、冷たい視線を送ってきた。
そうだ、敵なんだ。しっかりしろよ、私。
「星羅、なに見てんだ?」
風丸さんが肩をとんとんと叩いて私を呼ぶ。
「ななな、なんでもないです」
苦笑いして返す。
佐久間先輩に見とれてたとか、口が裂けても言えないよ。
「そうか…」
風丸さん、珍しくすぐに質問を引っ込めて退散する。
そのまま踵を返し、一歩踏み出し掛けたとき、独り言なのか私への質問なのか判別もつかないような低い声でぼそりと言葉を投げつけた。
「さっきの吹雪は…」
続きを聞き漏らすまいと気張った私に風丸さんはそれ以上の言葉は発すことなく、片手を上げて歩き去った。
士郎くんのさっきの行動、風丸さんは知ってたんだ…。見てたのかなぁ…?