イ/ナズマ文庫
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一之瀬が自分への想いを爆発させているなどとは露ほども知らず、星羅は肩を回した。
最近、一之瀬さんが真ちゃんに見える。
目の錯覚なんだよね。わかってるよ。でも、最近本気で真ちゃんを探している私がいる。
それもこれも、真ちゃんが電話に出てくれないからだ!
メールは返信してくれるっていうのに、なんで電話はだめなんだろう?
「星羅?」
はっとする。士郎くんの透き通るように白い腕が私の肩をつかんでいた。
「あ、あぁ、なんでも…」
「なんでもなくないよね?」
士郎くんに台詞を遮られ、先回りして言われた。
「いや、本当に大じょ…」
「なんでそうやって自己完結しようとするの?もっと、頼ってよ…」
そのあまりに悲しそうな声色に私は思わず顔を覗き込む。
「し、士郎くん?」
今度は士郎くんがはっとして、首を左右に振った。
「と、とにかく、今は半田くんの事は考えちゃだめ」