イ/ナズマ文庫
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「この試合が終わったら、外で待ってろ…?」
思わず口に出してしまってから慌てて回りを見る。
敵と密会の約束してるなんてばれたら塔子あたりのメンバーにぶっ飛ばされる。
私は黙って頷き、承諾の印しに親指を突き立てた。
それだけ見届けると、不動は自陣のポジションに戻った。
そして私は気が動転していて、染岡さんに迫る危機についての記憶を一切飛ばしてしまったのだった。
―試合再開―
今度は真帝国ボールで試合が再開する。
しかし早々に染岡さんがボールを奪い、敵陣に攻め込もうとしたまさにその時だった。
不動が汚い笑みを浮かべるのを見た私は、はっと先程感じた不動の危うさを思いだし、染岡さんに叫んだ。
「避けてッ!」
悲鳴に近い声に返事もせずに敵陣深く突っ込んでいく彼を尻目に、不動がついに行動にでた。
なんと染岡さん目掛けてスライディングしたのだ。