イ/ナズマ文庫
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しかも狙ったのはボールじゃなくて…たぶん足。
染岡さんが一瞬なにが起きたのかわからないというような顔をしながら、前のめりに倒れた。審判がすかさずイエローカードを掲げる。
私、中学に入ってこんなでたらめなサッカーやってたけど、イエローカード見たの初めてだ。それほど危険なプレーってことなんだろう。
「おいてめぇ、今のわざとやっただろ!」
士郎くんが飛び出してきて、今にも殴りかからんばかりの剣幕で怒鳴る。
「いやぁ、こんなのも避けられないとは思わなくてねぇ。しかも星羅が叫んでたじゃん?」
「…っ!てめぇ!」
まさしく殴りかかりそうな勢いになった士郎くんを止めたのは地面に転がっている染岡さんだった。
「やめろ、吹雪!」
「染岡!でもこいつ…」
「今殴ったら、お前が退場になっちまう!」
「…チッ」
士郎くんが舌打ちをして手を引っ込めると、不動がこれみよがしに頬を突き出した。