イ/ナズマ文庫
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星羅ががくりと膝をついて前のめりに倒れ込むのを、間一髪腕で支える。
「星羅っ!」
一之瀬が、吹雪が、円堂が、みんなが口々に彼女の名前を呼びながら駆け寄ってくる。
「佐久間っ!てめぇ…っ!」
吹雪が再び吠えた。
「星羅に、なにしたんだよっ!?黙ってねぇで答えろっ!!」
その吹雪を、円堂が首を振りながら止める。
「星羅は…まさか…」
口にするのが恐かった。それを言ったら取り返しのつかないことになってしまう気がして。
「たぶん、風丸の考えてる通りだと思う」
円堂の諦めたような目を数秒見つめた後、俺は自分でもびっくりするような勢いで星羅を揺さぶって、彼女の名前を何度も呼んだ。
そうしないと星羅が永遠に幽閉されてしまう気がして。
「星羅っ!しっかりしろよ、星羅!なんでまた過去に捕われてんだよっ!星羅、星羅っ!」
隣で一之瀬が円堂に星羅の過去を尋ねているのがわかる。