イ/ナズマ文庫
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「そんなことしていいのかな、吹雪クン?」
不動がニヤニヤ笑いながら言った。
「てめぇ、馬鹿にすんなっ!」
吹雪がもう限界といった感じで不動に殴り掛かろうとする。
「やめろ、吹雪!」
鋭い声が飛んだ。鬼道だ。
「そんなことしたって星羅が知ったら悲しむのは目に見えているじゃないか!」
今の星羅はそんな状態じゃないだろ。
内心で鬼道にツッコミを入れつつ、俺は星羅を抱えてベンチへ入った。
「目金、星羅を頼む」
それだけ言うと、くるりと踵を返して目金に背を向ける。
「ま、待ってください!僕も試合にでます!人数が足りないはずですよっ!」
背を向けていても眼鏡を右手でずり上げているのがわかる。
「…いいんだ。星羅の心がピッチにいるならそれで11人揃う」
一之瀬が顔を上げる。円堂も心なしか笑顔が戻った。
「風丸、たまにはいいこというじゃんっ!」
塔子が背中をバシッと叩いた。