-
黒ラノ
投稿日:352 0 3描こ描こうと思えば思う程、底なし沼に嵌るようにズブズブとのめり込んでいく。
「自分の思い通りに絵が描けないことに焦る」
「………」
「こんなこと初めてで……どうしていいのか分からない」
○○はこの沼から抜け出せる方法を知らない。常に肩にのしかかる重荷が自分を苦しめていることは分かってはいるが○○はその重荷を軽くさせる程の器用さはないのだ。
「なら描くのやめろ」
「は?」
「うまく描けないなら描く必要ないだろ。少し絵と距離置いたらどうだ?」
「距離を置く……」
「それも方法なんじゃないか?………で、絵かけたのかよ」
「直ぐに修ちゃんが動くから描けなかった」
○○はパタンとスケッチブックを閉じて皿の上のパンを口に運んだ。「いる?」と尋ねると虹村は「食う」と答えた。
◇
続く