気づいた恋心 佐伯虎次郎の場合
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「ちょ、ちょっと!手を離してよ。あのね!私はあいつらに文句を言わなきゃ気が済まないの!どう考えたって悪いのあっちで・・あなたも知ってるでしょ、私なら並の女の子より・・・」
彼女は合気道の有段者。並の男よりもはるかに強い。それは彼も知っている。
「ダメだよ、この俺がそんなこと君にさせるはずがないだろ?」
「君が強いのは俺が保証する。あいつらが悪いってのも、君が友達のためにどうにかしてやりたい、って思ってるのもわかってる。俺もけっこう怒ってる。でもね・・・」
いつもは温和な彼からは想像できないほど、静かに怒りを湛えた表情の佐伯は言う。