沖神
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祈りを込めて席を立つと、ワタシは屋上へ出た。夏の爽やかな風に髪を遊ばせながら、青く澄み渡った空を眺める。
このずっと続く空の下、あなたは今どこにいますか?今日は誰と会い、どんな話をして、どこへ行きましたか?最後にワタシを思い出したのはいつですか?今、誰を愛していますか?
「チャイナ!」
ふいになつかしい声に呼ばれた気がして、ワタシは思わず振り返った。そこには青いハッピを着た17歳の彼がいる。
沖「ここにいやがったか」
嬉しそうに言う彼を、ワタシは瞬きもせずに見つめた。ハッピ…じゃない?彼が着ているのは黒いスーツで…。
神「…沖、田?」
震える声で呼びかけると、彼はネクタイを緩めながら言った。
沖「遅れちまった、近藤さんの結婚式」
信じられない。でも間違いない。沖田だ。幻じゃなくて、17歳でもない、本物の、今の。何も言えず息さえできないワタシの方へ、彼は歩み寄ってくる。