秘密
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私には好きな人が居た。
今までの誰よりも好きな人
でも私を見ない人
それでも堪らなく好きだった。
バイト終わりに家まで送ってもらうようになり
私と店長は急速に近づいてゆく。
手を繋ぎ、太股に頭をあずけ
安らぎと不安と喪失感と
生ぬるい優越感を分かち合いながら。
もう一線なんて有るようで無かった
私には好きな人が居ると
知っていた店長。
妻子持ちの遊び人だと
知っていた私。
それでよかった。
丁度良い生温さ。
振り向いてくれないあの人から
私の視界を覆い隠して
涙を霞ませ
現実を歪ませ
道徳を奪い去り
喜びと笑顔を与えてくれた。
好きではないけれど
紛れもなく私の支えだった。
づきちゃん。
いつだって 悲しむことでしか あなたへの愛を 確かめることが出来ない