画像でつながるコミュニティ プリ画像

  • 1の画像 プリ画像

    投稿日:
    60 0 5

    ふわりと香る、紅色の薔薇。


    「嗚呼…店で一番綺麗な花を選んだつもりだったのだけれど、君を前にしてしまうと見劣りを隠し得ないようだ。」


    気障ったらしい台詞を吐いた男は「君はどんな花よりも綺麗だ」と、甘く微笑んだ。

    午前三時。お八つ時とはいえ、少し、胃もたれしてしまう。


    「はぁ…」
    「ん、顔を曇らせて、どうしたんだい?」


    厚意での贈り物だ。「貴方の所為です」と答える訳にもいかない。


    「…お花、ありがとうございます。とても綺麗です…私には勿体ないくらい」
    「そんなことはない。君に、よく似合っている」


    そう言って微笑む太宰さんを見上げる。…綺麗な顔だ。本当に。

    この人が、何故私に花束なんて…
    大した意味はないのかもしれないけど…

    彼の厚意は、…好意は、確かに私に向いている。けれど。…私の好意とは、ベクトルが違うような……


    「こんなに、近いのに…」
    「え?」

いいね 5件