見えない光15
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私の答えを確認した黄瀬は、右隣の座席に座る。
思っていたより近い。
身動きをするのも躊躇われた。
何でこんなこと気にするんだろう。
「よし、全員いるな。出発!」
バスが動きだす。
ワイワイと賑やかな車内。
二人の空間だけが沈黙していた。
またあの事を聞かれるのも、時間の問題。
そう思って、手持ちの鞄からウォークマンを取り出してイヤホンを耳にはめ、目を閉じて寝たふりをした。
これで大丈夫。
どれくらい経ったのだろう。
ずっと同じ体勢で、そろそろ首が痛くなってきた頃。
ふいに誰かに右耳のイヤホンを外された。
途端に飛び込んでくる、周りの雑音。
温かいものが耳にかかった。
……後でまた、話したいっス。
名無しさん