君ノ声番外編13
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ピアノの準備ができたらしく、彼女はそちらへ向かう。
弾き始めたのは、有名なクリスマスの曲。
周りの子供達はそれに合わせて歌う。
ピアノを弾きながら、彼女も歌いだした。
こんな光景、見れるなんて思ってなかった。
声が出ないからと、今よりずっと人見知りだった中学の頃。
表情をコロコロ変えた、屋上での昼休み。
守ると言ったのに、何もできなかったあの日。
再会した、澄んだ空の日。
「はは……」
頬を熱いものが伝う。
情けないな、まったく。
そう思っても止まらない。
軽快なピアノのメロディに乗せて、彼女の澄んだ声が流れていった。
名無しさん