サイドストーリー〔杠耶〕

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“ヨザクラ”の怪訝そうな眼差しが疑惑を帯びたものになり、姿勢は踏み込むにより適したものへと近付く。

ヨザクラ「どうやら…貴様には、もっと訊くべきことがありそうだ」

それを見て取った杠耶もまた、半身を引き、羽衣を広げ、受けるに万全な体勢を取る。

杠耶「でしょうね……削り取ったのは、ほんの一部。記憶は、もちろん…、性格も…、身のこなしも…、概ね、あちらのヨザクラに、……残るように…しましたもの…」

ヨザクラ「…………」

杠耶「…………」

二人の間で、沈黙と緊張の帳が、再び降りる。


閑散とした森の奥。
暗澹とした闇の中。
巨腕が風を切る音と、繊手が布を操る音が………
───まもなく、静寂を打ち破る。