沖神
投稿日:
683
3
9
1
沖「…おめーは、前へ進め」
後ろから抱きしめられているから沖田の顔が見えない。
沖「おめーは、行け」
彼の声はこんなに苦しそうなのに。
沖「オレを置いて…行け」
彼の温もりを感じながら、ワタシは静かに言った。
神「…帰るんだよナ」
ミツバさんやお母さんのいる過去へ。幸せにしたかったのに、できなかった人たちのところへ。
神「ワタシは大丈夫アル。沖田も、大丈夫。ワタシがずっと見守ってるネ。何があっても、沖田はひとりじゃないから」
そう言って沖田から離れる。そして一歩、また一歩と前へ進む。
沖「…行け、前へ」
その時、小さな呟きが聞こえて、ワタシはたまらず振り返った。
神「ガンバレッ!!」
大きな声で言う。誰もあなたを責めないヨ。みんなあなたを愛してるヨ。だから。
神「ガンバレッ。お前なら絶対、絶対大丈夫アル」
沖田は潤んだ瞳でワタシを見つめ、そして少しだけ微笑んだようだった。