沖神
投稿日:
613
6
3
1
沖田side
チャイナの背中が見えなくなるまで見送ってから、オレは一度だけ目元を拭った。公園を出て、今井のオフクロが眠り続ける病院へ向かう。今井は数日前から泊まり込んでいた。たぶん今夜だとか。あいつは来なくていいと言っていたが、最初から行くことは決めていた。今井とその母親を支えること、それがオレの生きる糧だから。オレの居場所はそこにしかない。病室に入ると、今井は人形のような表情で眠る母親を見ていた。
沖「ちゃんと言いてぇこと言わねぇと絶対後悔すんぜ」
信「かける言葉が見つからないの」
沖「じゃあ文句言ってやるのは?」
信「別にない」
沖「へぇ…じゃあオレが言ってやらァ」
姉妹のうち姉だけを溺愛した母親。ミツバが生きていれば。ミツバさえいてくれたら。うわ言でそう呟くのを聞いたことがある。
沖「なァ、おばさん。あんた最悪じゃね?」
今井がぎょっとしたようにこっちを見た。