沖神
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沖「長女はバカ男の車に乗って死ぬし、次女はあんたと口ききたくねぇとか言うし、何でェ、育て方間違えたんじゃねぇですかィ?それとも…」
ふいにオフクロの暗い瞳を思い出す。
沖「愛が足りなかったんですかィ?」
沖「あんたは愛するより愛されたかったんだろ?そんな風にてめーのことばっかだから、こっちも愛情の伝え方がわかんなくなっちまったんでィ」
すがり付く手を振り払うしかなくて。
沖「だから、許してやってくれよ」
最後に笑顔を向けられなくて。
沖「許してくだせェ」
ーごめん、オフクロ。心の中で呟いてオレは深く頭を下げた。
沖「次、てめーの番でィ。頼む。オレと同じ思いさせたくねぇ」
今井はしばらくためらっていたが、やがて口を開く代わりに、母親の手を握る。その瞬間、彼女は目を大きく見開いた。
信「い、今…お母さんの手が握りかえしてきた…私の、手…」
見開いた目から大粒の涙が溢れ出す。