沖神
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信「お母さん…私、愛し方が下手で…ごめんなさい…」
やがて心拍数が0になり、病室に無情な音が響き渡った。
オレは屋上に出て、早朝の空気を肌浴びた。そして少しして、まぶたを腫らした今井がやってくる。
信「『総ちゃんを幸せにしてあげたい』」
唐突な言葉に顔を上げると、彼女は今まで見たことがない優しい顔で言った。
信「お姉ちゃんちゃんが、箱に添えてたメッセージ」
箱、それは今井がバーに届けに来たあれのことか。あの時、彼女はたしかに「お姉ちゃんから」と言った。オレは嘘だと決めつけていたが。
信「『あのバカ男が総ちゃんを傷つけないようにちゃんと別れてくる』そう言ってお姉ちゃん、あの日前の彼氏に会いにいった」
沖「…なんで今さらなんでィ」
信「伝えようとした。でもあなたが意地悪言うから。ごめんなさい」
オレはうつむき、片手で両目を覆う。