まどろみ │花巻貴大
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「 さよなら 」
うだるような夏の暑さの中、彼女はそう言って
俺の前から消える。
儚く 綺麗なその顔で 彼女はいつも俺に別れを告げる。
もう何回繰り返したのだろうか
あと何回君を失えば俺は報われるのだろうか
ミンミンと鳴り響く蝉の鳴き声、
目の前には血が一面に広がっているコンクリート
終わりの見えないこの 【ループ】に
ぐっと唇を噛み締める。
「さよなら、じゃねーんだよ」
ポタポタと頬を伝っていく涙を拭う。
──きっと 繰り返す。俺は何度でもこの夏の日を。
君と一緒に生きていくと誓ったから
fin.
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