上司の色恋沙汰 15 │降谷零
すると上司は風見、と自分の名前を呼んだ
「はい?」
「...............んだ」
「え?...すいません降谷さん、よく聞こえな...」
「 会いたいんだ 」
背を向けていた上司がゆっくりとこちらを向きへらりと力なく笑ってみせる
────風見裕也はこの顔を知っていた
それは 誰かを騙す為の偽りの笑みでもなく
怒りを隠す時の笑顔でもない
そう、例えば
懐かしい友人を時々ポロリと話してくれる時の顔で
幼少期の初恋の人を思い出す時の顔
この顔は上司、降谷零の【素】の笑顔なのだ
「...降谷さん」
風見裕也は考えた
そういえば上司はこんなにも喜怒哀楽を表現する人だったか、と
彼女に出会う前の彼は職場では笑いもしなかったんじゃないか、と
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