上司の色恋沙汰 16 │降谷零
───彼女に出会ってからというもの上司は変わった
劇的に、というわけではないが普段行動を共にする自分には何となく分かる
部下に対しても物言いが柔らかくなったし
前に比べると親しみやすい
まあ、全て「ほんの少し」だが
それに何より笑うようになった
彼女に会った時、声を聞いた時、思い出した時
決して彼女本人には見せないその笑顔を風見は密かに知っていた
そして何となく嬉しかった
自分達が想像しているよりも遥かに重いモノを背負っている彼と、その若すぎる背中を、いつか支え生涯を共にするパートナーが現れてほしいと風見はずっと願っていたから
そしてきっとその相手は彼女なんだと風見は思った
上司のその表情が全てを物語らせていた
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