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___水面に映る月のような恋だ。
こんなに綺麗で、心を掴んでやまないのに。それは、波を立てれば掻き乱れる、幻でしかないのだ。
「…女性の心を掴むのがお上手ですね」
「おや。まるで私が誰にでもこうしている、と言っているようだね」
誰にでも。言っているのでしょうに。
「…無粋でした、ごめんなさい。お花、ありがとうございました。では。」
足早に水鏡から離れる。波が立ってしまいそうで。立ててしまいそうで。怖かったのだ。
もう少し…幻でもいい、もう少し、見ていたい。焦がれていたい。大人を知らぬ乙女のように、現を知らぬ子供のように。
そんな自分を嘲笑した。薔薇の香りに包まれながら。
***
いつからだろうか。
太宰さんから甘言を頂くようになったのは。
初めの頃は、迷惑でしか無かった。
中身のない演劇、意味の無い賛美のようだと。
2021/01/26更新 【PROFILE (雑)】 名前 お好きなように(( 誕生日 8/1 青い鳥 @Ra_Bi_3 取説 チキンです🐔 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ 【諸連...