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いつからだろうか。

彼の芯を知った。思いを巡らせる横顔を知った。正義を渇望する源に気付いた。

いつからだろうか。

彼の、迷惑千万な甘言を、違う意味で『迷惑だ』と思うになったのは。甘い言葉に胸を浮かせ、痛めるようになってしまった。


「やぁ、零。今日も綺麗だね」
「…こんばんは、太宰さん。今日も絶好調のご様子」


私はきっと、その他大勢のうちの一人なのだろうと泣き出してしまいそうな気持ちを燻らせたままに、挨拶を返す。


「調子は勿論良いとも。なんせ、君に会えたのだからね」
「毎回、豊かな語彙力ですね。小説家になれますね」
「ふむ…」


太宰さんは少し考えるようにして、そしてゆっくりと言葉を紡いだ。


「以前から思ってはいたけれど…君は、私の言うことを本当に信じていないね?」
「信じる、と、言われても…」


貴方が女性に対して軽薄だと言うことなんて、今更というか…


「零」

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