忘れ傘 15
「………ふう。」
小説を読み終えた後の時間に置いて行かれたような不思議な感覚を息と一緒に吐きながら、私は小説を本棚に入れて時計を見た。そろそろかな。そう考えていた矢先、兄が私を呼ぶ声が聞こえた。私は返事をしながら部屋を出ようと扉に手をかけたところで、唐突な立ちくらみを感じた。
それと同じタイミングで、私の頭の中にとある映像が流れこんでくる。燃える家、立ち尽くす兄、そして白い傘の女の人が鉄骨に―――。意識が現実に戻ったのと同じくして私は部屋を出て早足でリビングに向かった。なぜ、忘れていたのか。なぜ今になって思い出したのか。そんな疑問は浮かぶ余裕すらない。
リビングに着いた私の前に、兄の立ち尽くす姿がまったく一緒の場所にある。私は慌ててテレビを見ると、そこには燃えた家が映っている。被害者は家に住んでいたお婆ちゃん。私の中に最悪の光景が想像を経て、心臓の鼓動を早めていく。
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