風迅誕!
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………遅い!
……遅い!!
…遅い!!!
地団駄を踏み始めて10分、土方を待ち続けて45分。
待てど暮らせど彼の姿は見えない。
何度か電話をかけてみたりはしたが、着信はない。
彼のことだ、人との約束を疎かにするとは思えない。
__もしかして、
何かあったのではないか。
どうしようもなく胸騒ぎがした私は、待ち合わせの定食屋を離れ、屯所へと駆け出した。
ひらり、翻る肩口で揃えた彼女の髪を模して、白銀の欠片が舞った。
……今夜は、冷える。
威勢よく駆けてきた彼女ではあったが、屯所に着いてみれば思いの外いつも通り。
いつも通りでしかない。