１８

直樹はしばらく学校にも来なかった。

記憶がなくなってるんだもん。
当然だよね。

私自身もあれから２日間学校に行けてない。

自分の部屋で、ずっと直樹のことを考え続けていた。

直樹の記憶から、自分までもが消えていたなんて…

……直樹にとって私は“消したい記憶”だったのかもしれない。


直樹のこと、傷つけたまま。


直樹は私を記憶から消したかった…？

「ごめんねっ…ごめん…直樹ぃ…」

別れ際に見た直樹の寂しそうな顔。
私が傷付けた。
私が自分で…

直樹は今、私のことを彼女だなんて思ってない。

私はまた、“ただの同級生”に戻ったんだ。

直樹の特別じゃなくなった。

部屋で泣き続ける私が聞いていた雨の音は、どんなに耳を澄ましても冷たい音しかしなかった。