少女の業 ミツキside.泡沫の夢
「…ル……テル…エステル。起きてエステル」
「…?兄様…?どうしたの?」
「ヘリオスも一緒に夜の散歩に行こう。すごく気持ちいい時間だよ、おいで」
「え…?でも、こんな時間にお外に出たら…」
「いいから。心配しなくて大丈夫だよ、僕がついてる。…さ、行こう」
それは新月の日の夜だった
辺りが静まり返り、街明かりは消え
僅かな星明かりだけが光る闇夜の中
狼の姿になったリュンヌの背に乗り、エステルとヘリオスは邸を飛び出した
(兄さんは散歩だと言っていたが、それ以降私達があの邸に戻る事は無かった
この時は知らなかった、邸を出た理由を…
結局それを聞かされたのは、兄さんが姿を消してしまう直前だった…)
「…漢字かぁ…面白いな。海寿、水月、瑞乃…ミコト、ミツキ、ミズノだ。これならあいつらに見つかる事もないだろう…」
机に向かい独り言の様に呟きながらペンを走らせていると、不意に足音がする
「…兄様?」
*フォローする前に一読お願いします* 浮上率不安定(現在平日はかなり低浮上) 投稿したりしなかったりが激しく、コメ返もコメ回りもすぐ出...