中編 松川一静
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「ごめん、これでも急いだつもり」
謝罪の言葉を述べるとようやく彼女は手を止めて振り返り、ふわりと笑みを浮かべた。そして俺の姿を求め両手で空を切るので、そっと近づき小さなそれを包み込む。
「待ちくたびれたじゃない」
「まあまあ。そう言うなって」
「あと少しで一静くんの絵、完成するから。余計に待ち時間が長く感じた」
「それ俺のせい?」
「一静くんのせい、にしとく」
「なんて理不尽な画家さんだ」
毎回お決まりのようなやり取りを済ませたら、彼女は先ほどのとは別の描きかけのキャンパスを広げる。
BLUE
ゆっくりと夢小説(主に黒ラノ、テニラノ、ハイラノ)を書かせていただいております。 皆さんのお気に入りの作品がみつかりますように。 い...