中編 松川一静
中学1年の夏。
秘密基地と密かに名付けていたこの地に、いつものように遊びに行った先での出会い。ある日、唐突な客人として訪れていたのが彼女だった。
その時も彼女は絵をひたすらに描いていた。いきなり後ろに立ったから、不審者!って思いっきり叫ばれたっけか。
遅れて自己紹介をし、ここらじゃ見ない顔だと言うと、彼女は夏休みの間だけこっちに来てるんだとか。どうやら都会育ちのお嬢さんらしい。
そうしてしばらく絵を描く彼女の姿を見ていたら、手を草花に伸ばしながらもキャンパスとは別の、あらぬ方向を見つめていることに気がついた。
「キャンパス見ないで描くなんてすごいな」
「そう?」
「手元見えないとよく分からないだろ」
そう言うと、彼女は一瞬きょとんとし、何かを思い出したかのように笑いだした。
ゆっくりと夢小説(主に黒ラノ、テニラノ、ハイラノ)を書かせていただいております。 皆さんのお気に入りの作品がみつかりますように。 い...