中編 松川一静
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礼儀正しく「よろしくお願いします」と言ったら、いつもの様に俺の顔に白く細い手を這わせ、黒い鉛筆で着々と絵を書き進めていく彼女。
触れる指が擽ったくて顔を引こうとしたら、逃げちゃだめと元のポジションに戻される。
「しっかりしてくださいな、雛形さん」
「あんまり弄るなよ。擽ったい」
「我慢してよね。しっかり確かめないと描けないんだから」
そう言って再び俺の顔に指を這わせる。
雛形、所謂絵のモデルである以上何もできないので、キャンパスに向かう彼女の顔をじっと見つめる。
出会ってかれこれ5年、か。
BLUE
ゆっくりと夢小説(主に黒ラノ、テニラノ、ハイラノ)を書かせていただいております。 皆さんのお気に入りの作品がみつかりますように。 い...