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不意に、思い出した話がある。
茶野『……っあ、真ちゃん!』
それは、高三の春の日の放課後。男バスの部員たちが練習をする体育館に、真ちゃんが来たあの日だ。
緑間『……で、お前はここで何をしているのだよ』
茶野『っえ?』
どうしてそんなことを言うんだろうと一瞬思って、『……あれ、言ってなかったっけ』の一言の彼の反応で私は察する。
茶野『私、今マネージャーやってるの』
どうして言うのを忘れていたんだろう。
当時はそう思ったけど、今ならわかる。多分、無意識に話題にするのを避けていたのだ。
緑間『……な、何故なのだよ』
茶野『……成りゆき、かな』
緑間『なら、そんな顔はするな……』
茶野『え……?』
そんな顔って、何?
茶野『……変、だった?』
私は真ちゃんを不安がらせてしまったのか。
仮面をつけることが得意なのに、私は――隠し通せなかった。
゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*゚・*:.。.*. 代表作(合計604作) *黒子のバスケ 《モノクロ*カラフル -second season-》 ...