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 少しだけ頭が冷えた。袖口で顔を拭うと、若松先輩が首にかけていたタオルを放り投げてくれる。

栗原「っあ、ありがとうございます!」

 ぐしぐしと顔を拭くと、黙って私を眺めていた若松先輩と目が合った。

栗原「……斉條先輩と仲直りしたんですか?」

若松「どうだろうな。別にもうなんとも思ってねぇし」

栗原「え、よりを戻さなかったんですか!?」

 どういうことなのか知りたくて、若松先輩のところに駆け寄ろうとしたら水道の角に太ももをぶつけてしまった。

栗原「ほぁぁぁぁ!!」

若松「戻すも何もなんとも思ってねぇつっただろーが」

 駆け寄ってきた若松先輩は、ため息を吐きながら痛みで転げ回る私を起こす。

栗原「でもっ……」


若松「俺はお前が好きだ」


 その瞬間、風が、吹いた。

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