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叶「ほんと、真紀奈はどこでそんな情報を手に入れるんだろうね」
あははと笑う叶の肩を掴み、私は胸に広がる波紋を押し留めながら叫ぶ。
蛍原「そこはどうでもいい! どうしてっ、じゃあ律はどこに行ったんだ……!」
叶「霧崎らしいよ。良かったね、都内で」
真紀奈は、私の指示で秋田にいる。叶のその台詞は引き裂かれた姉妹の痛みそのもののようで、私は黙った。
叶「これだけ言いに来たの。椛と咲穂はちゃんと通ってるらしいから、安心して」
叶は肩に置かれた私の手を下ろして、床に下ろしたスポーツバッグを拾う。
叶「お大事に、絵里」
引き裂いたのは私なのに、
"約束"なんてないようなものなのに、
裏切られたような身勝手な感情が、やっぱり波紋のように広がっていく。
私は、弱い。
ほんとは、きっと誰よりも弱い。
涙は出なかったけれど、嗚咽をしばらく繰り返した。
゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*゚・*:.。.*. 代表作(合計604作) *黒子のバスケ 《モノクロ*カラフル -second season-》 ...