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「蛍原じゃねぇか。向こうにいないと思ったらこっちにいたのかよ」
運転席の男性は、私と私の真後ろの建物を見て納得したように頷いた。「サボリだったら轢いてたけど、"それ"じゃあ仕方ねぇな」とわけのわからないことを言って笑う。
宮地「ちょっ、今の兄キじゃマジで洒落にならねぇからな!?」
幹「ほんとだよ。どうせ言うなら轢く以外で言ってよね、清志」
幹さんは窓を開けたキヨシさんの頬をつねった。
何も整理できていない私は、思考を放棄しかける。
幹「絵里ちゃん。こんな人だけど根は本当に優しいから安心して?」
幹さんはそんな私の背中を押して、宮地先輩が開けた後部座席へと乗せられた。
「ウチはタクシーじゃねぇけどな。栞に免(めん)じて乗せてってやるよ」
キヨシ、というどこかで聞いたことがある名前の人はニヤッと笑って、幹さんに手を振ってから車のアクセルを踏んだ。
゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*゚・*:.。.*. 代表作(合計604作) *黒子のバスケ 《モノクロ*カラフル -second season-》 ...