黒ラノ
ベンチに座っている鉄平に私はゆっくりと近づく。
驚かそうと思ったのに、鉄平はくるりと振り向いた。
「鉄平! なんで解ったの?」
「そりゃあ足音で解るさ。むしろなんでゆっくり来たんだ?」
私は朝、鉄平に「トリックオアトリート」と言った。
が、鉄平はお菓子を持っておらず今に至る。
「……ねぇ鉄平。今日がハロウィンだって知ってる?」
「ハロウィン? あぁ、忘れてたなぁ」
案の定屈託なく笑う鉄平は鉄平らしいと思った。
「だからイタズラ……」
次の瞬間、うぐ、と鉄平の表情がひきつる。
「……と思ったけどやめる」
私は鉄平の隣に座った。
イタズラよりもこうしている方が私は好きだから。
END
゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*゚・*:.。.*. 代表作(合計604作) *黒子のバスケ 《モノクロ*カラフル -second season-》 ...